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Fig.3 BMS施工位置図(BMS installation site)

も、自然のままの砂浜の持つ機能が注目されている。
今回、茅ヶ崎中海岸で、砂浜の保全・増殖を目的とした海岸保全の新しい工法としてビーチマネージメントシステム(BMS工法)を導入、3年間にわたり共同研究を実施することにしたので、この共同研究についての概要を紹介する。
2. 背景(Background)
江ノ島から大磯港までの湘南海岸は、砂浜と松林が続き風光明媚な海岸として親しまれてきた。しかし、この茅ヶ崎海岸は、昭和50年頃から海岸の侵食傾向が強まり柳島地区では以前80mを有していた砂浜が全て消滅し、中海岸地区から東海岸地区においても60mもあった砂浜が半分するなど海岸侵食が進行している。
そこで神奈川県は、柳島地区の侵食対策として、「消波堤工」を実施している「消波堤工」は、全て自然石使用の変形人工リーフで、延長800mを施工中で、その背後地には着実に砂浜が復元してきている。
この結果を踏まえ、消波堤工天端の有効利用を考慮したタイドプールの導入や干潟の設置などにより効果的な海岸保全裏業を目指している。
また、東海岸地区に昭和61年から5ヶ年で人工岬「ヘッドランド」(横堤160m・縦堤230m)を築造。ヘッドランド周辺は、その集砂効果により砂浜がかなり増幅されてきている。
しかしながら、ヘッドランドの効果が及ばない中海岸地区では、やはり侵食傾向は続いたため、神奈川県では1988年(昭和57年)から1994年(平成6年)までの7年間に約78,000m3の砂を投入し養浜状況を観察してきたが、海岸線を維持しているものの砂浜の復元までには至らなかった。
そこで、神奈川県、(財)土木研究センター、および(財)神奈川県都市整備技術センターが共同で海岸保全技術の新しい工法であるビーチマネージメントシステム(BMS)工法を日本で初めて神奈川県茅ヶ崎海岸の中海岸地区で実施した。
3. ビーチマネージメントシステム
(Beach Management Systems)
3−1 BMSの特長(Various features of BMS)
(1)海岸景観
施設のほとんどを地下に埋設するため、自然環境が損なわれない。
(2)自然環境
自然な状態で海水を集水、侵食防止をするため生態系に影響を与えない。
(3)集水した海水の利用
システムで集水した海水は、クリーンで、水族館、海水プール、海洋療法、海水淡水化プラントなどで利用できる。
(4)砂浜の維持管理
システムの運転、停止により砂浜の維持管理ができる。

 

 

 

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